愛想良くするのは誰のため?

「女は愛嬌」なんて言葉も、そろそろ昭和の死語になってきた。
未だにそんな事を言う人には、ちょっとそこに座りなさい、と言いたいくらいだが、先日似たような言説に出会った。
友人(男性)の仕事を手伝う約束をしていた前日。
「明日は女子力期待してます!」というLINEがきた。どういう意味?と思ったので、手伝った後の食事中にその意味を問うたところ、
「おじさんだけだとギスギスしちゃうけど女子1人いると違うんだよね」と、言う。
「仕事でも、空気が悪い時に女性の力が必要なんだよね」
などと、続けて言ってきたので、「なんか、それって凄いモヤモヤするなぁ。場の空気くらい男性だけで何とかしてよ」と返したのだが、改めて、このモヤモヤを紐解いてみたくなった。

自分で言うのもはばかられますが、、、私はわりと愛想良く振る舞うことが出来る方だと思っている。だから、自分が嫌なことを言われない限り、職場などではニコニコ穏便に過ごすことは、苦手ではない。(「その割には思ったことが顔に出過ぎ!」という友人の皆様からご指摘が聞こえてきそうですが 笑)
以前、昭和空気の纏う町工場でバイトしたことがあるのだけれど、「山葉ちゃんみたいな女性はいるだけでいい」みたいな事をリアルに言われたことがある。
(おぉ、こんなこと本当に言う人いるんだな)と思ったのと同時に、(いやいや、それより仕事の評価をしてくださいよ、っていうか時給アップして、、)と思った記憶がある。

職場内で、女性に、いわゆる「ケア労働」をさせるというのは、キャリアアップを目指す女性にとっては、大きな仕事を任せてもらえなかったり、仕事の上で頼りにされてないのかと感じたりと、とても屈辱的なものだ。
また、そういった野心が無くとも実は仕事が出来るはずの女性にとっては、(こんなもんでいいのか)と、モチベーションを下げることになってしまい、いずれもその会社の損失になっていることと思う。
という問題が1つ。ともう1つは、女性だからって、誰しも愛想良く振る舞うのが得意なわけではないというところだ。
私はたまたま苦手ではない方だったけれど、その分、苦手な女の子を苦しめているのではないか、と、辛い気持ちになってしまう。
「この人がいると、場の雰囲気がパッと明るくなるね」という人は確かにいて、それはその人個人の能力であって、男女は関係のないことだ。
そして、その場の雰囲気を良くしたいのは皆一緒のはずで、雰囲気を良くしたいならば、その努力は男女関係なくするべきだ。
男性だけが、イライラを隠さないでいいなんて、おかしすぎる。

「女の子はニコニコ愛想良くしていた方がいいよ」と職場で言われた女子に伝えたい。そんな言葉は聞き流していいよ。愛想良くして得をするのは誰だろう?その人の言うことを聞いて、無理してニコニコしていたところで、私たちは果たして幸せになれるのだろうか?
職場は仕事をするところです。

2020/12/26