浅いのか深いのかわからない話
気付いたら連日、豆腐類を食べている。
厚揚げが特に好きで、おまけに大根おろしも大好きなので、厚揚げに大根おろしなんてもう最高だ。
居酒屋などでだし巻き玉子を頼むと申し訳程度に大根おろしが付いてきて、人と食事をシェアしている場面では、その大根おろしを遠慮がちに取り分けるあのみみっちい感じが嫌なので、自分でおろしを乗せるときはこれでもかとたっぷり乗せる。
長い間アルバイトしていた「今風庵」という野菜料理のお店には、厚揚げに鬼おろしをたっぷり乗せたメニューがあった。これよこれ!という感じ。
鬼おろしをするのはアルバイトの私の役目だったので、鬼おろしの使い方は抜群に上達した。
冷奴にキムチと卵を乗せるレシピを髙山なおみさんの本で見てから、時々やる。
鰹節と生姜とネギという王道の冷奴も、歳を取る毎に好きになっていく。
冬には、豆乳スープに豆腐を入れて、おまけに小鉢に白和えも作っていた日があり、「どんだけ!」と自分で自分に突っ込みを入れたくなった。
このように、豆腐の事を書き連ねても、「わー!美味しそう!」という声は上がらないだろう。良くて「あーそれ私も好き。」という平熱の同調を得られるだけだと思う。私はそこに豆腐の魅力を感じる。日常に埋もれているくせに、豆腐売場はスーパーの中でけっこうな広さを確保している。かっこいいじゃないか。
豆腐の思い出を掘り起こしていたところ、そういえば、長年お付き合いした人に初めて作ったものが湯豆腐だったのを思い出した。
この初回、私は「食べたければ貴方も食べれば?」というスタンスだったはずだが、いつからか、湯豆腐なんて出した日には「おかずこれだけ?」と言われ。そして「他に何もないからスーパーで唐揚げでも買ってくるね!」と急いでスーパーに駆け込む私。いつからどうしてそのようになってしまったのだろうか。。。
開けなくていい記憶の扉を開けてしまった。
この教訓(?)は、豆腐を日常的に味わえない人とはきっと生活をずっと共にすることはできなかった、ということ。(そうなのか?)
色んな好みが似ている友人と、気付いたら豆腐類が好きなことでも一致しているのだから驚く。
そして、「フィレンツェで食べたあの牛肉!」という興奮気味の語りには決してならない、「これ、けっこう美味しいよ」という平熱に近い油揚げの情報提供。
これですよ。豆腐と、私たち、ずっとお付き合いしていきたい、そんな仲間なのです。
2021/06/15