男性とフェミニズム

私にフラットに接してくれる男友達が、私がフェミニズムの話題を出すとどうにも居心地が悪そうにしている。
「またその話?」と言いたそう。
以前買った本を見せたときに、「またフェミニズムの本?」と言っていたので、たぶん本当にこの話をしたくないんだろうなと思う。
最初に書いた通り男女の分け隔てなくフラットに接している男性であるが、そんな人でさえ女性差別の話は“うっとうしい”と感じるのか、、、となる。
私は女性差別の話をする時、“あなたの事を責めているわけではないよ”と、言わなくてももちろんわかっていると思っていたけれど、フェミニズム運動を追っていくと、ほとんどの男性が「攻撃されている」と感じるらしい。
極めて個人的な話から始まることが多いせいか、構造上の差別の問題なのだとわかりづらいのかもしれない。
そう、男女差別の問題は家父長制から発生している社会構造の問題。

アメリカで「#ノットオールメン」というハッシュタグが男性から発信され、それに対して「#女はみんなそう」というハッシュタグが女性から発信された。痴漢を例に出すとわかりやすいが、女性が痴漢被害を訴えたとき、または痴漢を警戒したとき、「全ての男が悪いわけではない」と女性に言ってくる男性がいるが、しかし、ほとんどの女性が痴漢被害に合っている現実がある。
一部の男性のせいで、善良な男性と、ほとんどの女性が被害にあっているのだ。敵は女性じゃない。一部の男性だ。「俺は違う」と女性に言う前に加害する男性に「やめろ」と言ってほしい。
どうか一緒に戦ってほしい、と思う。
下駄を履いた記憶なんてないかもしれないけれど、夜道、何度も振り返らず帰ることができるのは、男性の特権だ。結婚して子供ができてもキャリアを諦めなくてよいのも、当たり前のように名前を変えなくてもいいのも。そもそも、男女の問題について特に考えなくていい、知らなくても困らない、「なんかめんどくさい」とポイできることがもう特権だ。
すでに、沢山の資料は出揃っている。
沢山、沢山、女性たちは声をあげてきた。でも結局、男性が変わらないと世の中変わらないんだ、と感じている。
この状況はおかしいんじゃないかという声が多数派になれば、「なんかめんどくさい」と言えてしまう人も、耳を傾けなければいけないと感じるようになるだろう。
女性たちは充分連帯してきたと感じている。フェミニストではない人とも、「なんか生きづらい」と感じている感情を共感し合えていると感じる。
あとは、男たち頑張ってくれと思う。生きにくいと感じる男性たち。身近にいる女性たちの扱いを不当に感じる男性たち。

「私は男でフェミニストです」
この本は、著者の母親の描写から始まる。彼は母親の扱いがなんかおかしいんじゃないかと感じる。読んでいて胸が詰まる描写だった。
韓国の話だけど、書かれている内容は日本とほとんど変わらない。
おかしいと思うことを列挙していくと浮かび上がる男女の不平等。

なんかおかしいよね、という違和感に鈍感にならないでほしい、と思う。
黒人差別の問題で黒人に「がんばれ」と声をかけるのはおかしいとわかるだろう。変わるべきは白人だ。
女性が差別されている現在、変わるべきは男性なのだ。自分は何も差別なんてしてないのに、と思う人も。社会の一員として、直視してほしいと思う。

2022/03/15