RRRを観た夜

(注:ネタバレはしてないと思いますが、バイアスがかかってしまう可能性あるので、RRRを観に行く人は要注意。)

8月からずっとイベントが途切れず、「終わらない!」「やばい!」とテンパった状態で数ヶ月。
12月の青山のタスカケさんのイベントにてやっと一段落したタイミングで、
「RRRには怒り、悲しみ、喜び、全ての感情が詰まってるんです!応援上映一緒に観に行きませんか?」と誘って頂き、解放感でいっぱいだった私は、出会ってまだ2回目、名前を知ったばかりのその方の誘いに乗ることにした。

何も前情報を仕入れず向かうと、応援上映の席は即完売、なんだか熱気ムンムンでコスプレをしている人もいる。
さてさて、インド映画、応援上映、これはきっと愉快な楽しい映画なのだろう!と思い込んでいたのだが、これが全然違い、暴力シーンがとにかくつらい。苦しい。
応援上映のために自作した鳴り物を鳴らすタイミングもないままギュッと握りしめ、何度も泣き、3時間の映画に没頭した。

舞台は1920年のイギリス統治下のインドでの独立運動を描いていて、インド人の人権を無視するイギリスの酷い行いに怒りが湧き、その怒りが終盤のカタルシスをもたらすのだと思うのだけれど、
私はこのカタルシスを無邪気に楽しむことが出来なかった。インドに自分(日本)を重ね合わせていいのだろうかと思ってしまう。
敗戦国という意識が日本人には強く根付いているのだと思うけれど、いや、でも日本って加害国でもあるよね。イギリスと同じことしてきたのかもしれないよね、と。
RHYMESTER宇多丸さんがラジオで話していたRRRの映画評の中で
「イギリス、白人、西洋への、アジアからの逆襲」 といった語り方をしていたが、私はこの映画をそのような楽しみ方ができないなと感じた。
また、開放運動のためには暴力が必要だったのかもしれないが、それにしてもやっぱり、なんで男は暴力で解決しようとするのだろう、と、今のロシア、ウクライナ情勢にも重ね合わせて憤慨してしまった。

「日本は過去に戦争を始めた国である」ということ、そして、「暴力を使いはじめてしまったら、暴力で対抗するしか術がない」ということ。
防衛費のために増税する閣議決定がなされた日本。反対意見が多かったにも関わらずしっかりとした説明がされぬまま安倍元首相の国葬が行われ、理屈をつけて原発再稼働しようとしたり、強制ではないはずのマイナンバーカードを半強制的に作らせようとしていること。
政治に関心を持たないでいたり、聞き分けよく政府の言いなりになっていると、いつの間にか戦争に突入しているのではないだろうか、と、とても不安になる。
RRRのエンディングに、日本ではあまり知られていないインドの活動家たちが登場するのだが、こんなに沢山の活動家がいることを初めて知り、改めてインドの歴史を勉強したいなと思う。それは世界を知り視野を広げることに繋がるだろう。そして、戦争(を始めようとする人)に対抗する手段を得たいと思う。

RRR、暴力シーンがつらいと言いながら、実はまた見に行きたい!と思っている。。
凛々しいラーマと、愛嬌たっぷりのビーム、2人の主人公がとても魅力的で、アクションシーンがとにかく凄く「あれをもう一度見たい!」と思うシーンが沢山ある。
随所で漫画的な構図を感じて、日本でヒットしているのはこれも原因かもなと思ったり。

さて、応援上映に誘ってもらった時、「最近、ミソジニーが強くてテレビをあまり見れなくなってしまった」という私の話に共感してくれて、「それは世界の解像度があがったということですよ」という言葉に、(なんかこの人好き!もっと話したい!)と密かに思っていたら、
映画鑑賞後、お酒を飲みながら日本の女性差別の問題、政治の問題まで沢山話すことができてとても嬉しかった。
仕事でテンパってた時だったら、映画を見に行くことも、そもそもお話するきっかけの場に行くことすらできなかっただろう。人生ってちょっとしたタイミングでガラッと変わったりするのだろうなと思う。

今年も色々な出会いがありました。私に関わってくださった皆様ありがとうございました!

来年も沢山洋服を作れる一年になりますように。

2022/12/31