晩酌のはなし

昨年末、長い間住んでいた三鷹から、目黒区に引っ越してきた。

三鷹には20代の頃から10年以上住んでいたが、30代に入ってから、外で1人飲みをすることが多くなった。
当時長い間お付き合いしていた人と、なんだか気持ちが離れていったのと同時期、洋服を作るのがどうにも疲れてしまい、一回のんびりしようと思ってパートタイマーの仕事を始めた。
定期的にお給料が入ってくる仕事に就くと、帰り道の食事処が「一杯どう?」と誘ってくるようになる。
恋人とのモソモソとした夕飯よりも、1人飲みの自由さに心がときめく。
ちょっとした小鉢を頼み瓶ビールを開ける。凄く楽しい。
何かの反動なのだろうか。元々そういう人間だったのか。1人になってから、ますます楽しい、三鷹1人飲みライフが始まった。

駅から遠い所にある定食屋では、野菜の小皿料理があり、シンプルな調理法の品々がとても私好みで、ビールを飲んだり、慣れない日本酒を飲んだりした。
引っ越す前の一年間、通ったバーがあった。店主を慕い、お酒を飲むのが好きな人たちが集まった気持ちのいい店だった。
洋酒がズラリと並んだ店内で、渋くウィスキーをロック、と言いたいところだけど、結局いつもハイボールを頼んでしまう。

今は、外で飲む楽しさを忘れてしまったかのように、引っ越しのバタバタに続いてコロナの影響もあり、結局引っ越してきてから、一回も外で1人飲みをしていない。
お酒の飲み方は自分の気分に左右される。しばらく家でのんびり1人飲み、が今の内省的な気分に合っているのかもしれない。

2020/06/04