職業

高校生の頃、美術の先生に将来デザイナーになりたいと言ったら、
「芸術家なら100人のうち1人に気に入ってもらえればいいけど、デザイナーという職業は、10人のうち8人に良いと思ってもらわなきゃだめだからね。僕みたいに、こういう彫刻作って、たまに買ってくれる人がいればいいのとは違うからね(笑)」という話をしてくれた。
その話を未だに心に刻んでいるわりに、ニッチな世界の洋服を作っているなと自覚はしているけれど、やはりデザイナー志望で上京してきた私は、1人でも多くの人に私の洋服を着てもらいたいと思っている。

生活費を稼がなければいけない、というのももちろんあるけれど、職業は?と聞かれて、「洋服をつくってます」と堂々と答えたいから、洋服を作ることで収入を得ていきたいと思っている。

私のまわりには、知り合いの作家さんが多いけれど、創作活動への向き合い方は人それぞれ違って面白い。

昔は、自分の好きなものだけ作っていたい。という気持ちに100%わかるよー!と共感していたけれど、最近、ちょっと考え方が変わってきた。
近頃は、お客様と対話することで、新しい自分の可能性が生まれてくることを感じている。
お客様の意見に全部乗っかる、というわけではなく、色んな方の話を聞いているうちに、新しいアイディアが沸いてきたりする。
この前あのお客様がこんな話してたなーと思いながら作ったものが、そのお客様が気に入ってくれると、「あ、、気付いてくれました、、?」と心の中で気持ち悪い照れ笑いをしてしまう。
そして、作ったものが売れると、また新しい事にチャレンジしようとする意欲に繋がる。

何より、沢山売れると本当に、本当に、嬉しいのだ。
私は承認欲求が強いのだと思うのだけど、人に求められることが、私にとって仕事の一番の喜びなんだと思っている。

2020/06/13